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酒井佑圭さんが見出す、次の社会をつくる「あり方」の哲学

うつになった18歳、そこから始まった問い

酒井佑圭さんは、想いあふれる経営者・個人事業主が集まる「語り場スナック4U」の共同オーナーでもあり、社会学をベースにした「あり方デザイン講座」の運営者もされている方です。その活動の源には、18歳でうつになった経験がありました。憧れて飛び込んだベンチャー企業では、5つの事業(障害者支援・訪問介護・喫茶店・美容・貸しオフィス)を横断して、同時期にハンドメイド作家としても動いていました。営業スタイルや事業拡販などの試行錯誤含めて、「めちゃくちゃ楽しかった」と振り返る酒井さん。しかしながら、5:00-23:00の労働時間や住み込み3万円という条件、会社の売上を伸ばしても最低賃金以下の就労から見直されない状態が続き、状態になってしまいました。そのとき、母親が嫁いだ先の家業を手伝う姿と自分が置かれた状況が重なっていることに気づき、「自分を守れてない苦しさという環境において、同じ環境を選んでいるな」と気づくところから、酒井さんが自分自身と社会を見つめ直す出発点になりました。

5年で800万円の自己投資と、境界線を学ぶ旅

そこから酒井さんは、心理学や発達心理学、社会学など、5年間で800万円以上を自己投資に充ててきました。「シンプルに食費も交通費もがっつり削って」という徹底ぶりです。原動力は、ADHDの気質による生きづらさを抱えながらも「可能性を一番知っているのは自分のはず」という思いと、親からの経験を反面教師にして自分を「子育てし直す」という決意でした。学生の頃から経営者・人事の勉強会に参加し続け、自分が何に反応して、何を見逃せないかなどの問いを重ねる中で、酒井さんは「次の世代に残すものと残さないものを、選び取って大事にしていくために生きている」という自分の軸を言語化していきます。専門分野に閉じない、人間の思考回路や社会の構造そのものを解剖するような視点は、この時期に育まれたものでした。

競争でも慣れ合いでもない、その間にある生き方

酒井さんが今取り組んでいるのは、個人事業主向けの「あり方デザイン講座」と、3ヶ月かけて事業の起爆剤とする実践プロジェクト「Rinfes」です。参加者には、自殺防止の社会活動をする人や食を通じて子どもの自主性を育もうとする人など、ニッチな関心を持つ人が集まります。酒井さんが目指すのは想いを現実から切り離さず、現実に合わせて想いを捨てることもせず、その両方を行き来しながら、自分たちなりの働き方・関係性・経済のあり方をつくっていくことです。そこを大事にしている人、目指している人の交わりを広げていくことで、次の世代も自然とそういう生き方を選びやすくなると語ります。歴史や人間関係についても、酒井さんは「必ず誰かの解釈が入った情報である」という前提を持って読み解くことを大切にしており、世代間のギャップも「乗り越えてきたものの違い」として分析的に捉えています。評価だけで人を平らにしてしまう社会のあり方に違和感を持ち続けてきたからこそ、視座を上げて構造そのものを問い直す姿勢が、酒井さんの活動全体を貫いています。

「境界線」という言葉に込めた、これからの出会い

今後は、あり方デザイン講座を企業内にも広げ、会社員でありながら個人事業主や経営者の視点を持てる人を増やしていきたいと考えています。さらにAIと人間の違いというテーマにも、視座を上げるための研究として関心を向けています。マッチングで出会いたいのは、実業を持ちながら思いを実現している人、あるいは思いを形にしたいと次のフェーズへ進みたい人。年収や実績で対等さを測るのではなく、「次の社会を一緒に育てられる人」との出会いを願っています。大事にしている言葉は「境界線」。踏み込みすぎず、踏み込まなすぎず、自分と社会の間にある適切な距離を保ちながら、次の社会をともにつくっていく。酒井さんのこれからに、そんな出会いが自然と重なっていくはずです。