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好きなことを仕事にした人へ──想いを形にする現場

好きなことを仕事にした人へ──想いを形にする現場

きっかけは「好き」を手放さなかったこと

鈴本さんの原点は、とてもシンプルです。「小さい頃から、絵を描くのが好きでした」。その言葉どおり、美術大学に進み、印刷会社を経て、デザインの世界に身を置き続けてきました。紙媒体からWeb、さらにイベント運営まで。気づけば22年以上、ものづくりの現場に立ち続けています。 結婚や出産、転居といった人生の節目を重ねながらも、「作ること」を軸にキャリアをつないできた鈴本さん。3人目の出産を機にフリーランスへ転身した12年前、通勤という制約を外したことで、仕事と暮らしの距離がぐっと近づきました。自宅やカフェで仕事をしながら、子どもたちの成長を見守る日々。その柔らかな生活の中に、次の変化の芽が静かに息づいていたのです。

デザインの先に広がった、リアルな現場への一歩

大阪に移り住んでからの9年間で、鈴本さんの仕事は少しずつ形を変えていきました。チラシやホームページ制作から始まった関係が、やがて「イベントをやりたい」という相談へと広がっていったのです。 「お客さんの多くが、自然とイベントを開催するようになったんです」。集客、告知、当日の運営。デザインだけでは完結しない領域に、鈴本さんはためらいなく足を踏み入れました。司会や受付、現場サポートまで引き受けるようになった背景には、好奇心旺盛な性格と、人との距離を縮める力があります。 趣味のゴルフやタイル制作、宝塚観劇。さまざまなコミュニティに顔を出し、気づけば「じゃあ、お願いしようかな」へ。挑戦は計画的というより、必然の連続でした。その一つひとつが、鈴本さんの引き出しを確実に増やしていったのです。

「作る」から「託される」へ、仕事観が変わった瞬間

大きな転換点は、「全部を自分でやらなくてもいい」と思えたことでした。デザインやコーディングを手放し、信頼できる仲間に任せる。その代わりに、鈴本さんはヒアリングやディレクションに力を注ぎ始めます。 「お客さんの想いを、どう形にするか」。その本質に向き合う時間が増えたことで、仕事の手応えはより深くなりました。イベント全体を見渡し、紙・Web・空間・導線を一つの体験として設計する。印刷会社時代に培った知識も、フリーランスとしての現場経験も、すべてが今につながっています。 Canvaで簡単にチラシが作れる時代だからこそ、残る仕事は「簡単ではない部分」。展示会や大型イベント、パッケージ制作など、プロの総合力が求められる領域です。できないと言わず、学びながら引き受けてきた姿勢が、結果として「頼られる存在」を形づくりました。

個人の仕事が、人の場をつくる時代へ

現在、鈴本さんが見据えているのは、自分が前に立つよりも、人と人、想いと形をつなぐ役割です。イベントや周年企画、展示会など、「何かを伝えたい」「人を集めたい」と願う人の伴走者でありたいと語ります。 仕事も趣味も全力で楽しみ、家族との時間も大切にする。その姿は、「忙しいからこそ、好きなことを諦めない」というメッセージそのものです。 もし今、変化の途中で立ち止まっている人がいるなら、鈴本さんの歩みはこう語りかけてくれるでしょう。完璧な計画がなくてもいい。好きなことを続け、人との縁を大切にしていれば、道は自然とつながっていく。 その先には、きっと自分だけの新しい景色が待っています。