日本人が「働く誇り」を取り戻す舞台を、日本武道館に。
当たり前の日常を支えているのは、見えない人の働き
山泊さんが「日本武道館でのライブを目指す」と語った時、多くの人は驚きを隠せなかったかもしれません。しかし彼の視線の先にあるのは単なる音楽イベントではありません。そもそも山泊さんはミュージシャンではなく、ノンフィクション作家。彼が舞台に込めたいのは、自らが携わってきた“働く人々の輝き”です。その着想の原点には、華やかな音楽イベントを観に行った際に抱いた小さな違和感がありました。観客は遊びに来ているのに、ステージ上のスターたちは仕事をしている。ならば逆に、日々仕事に打ち込む人々がスポットライトを浴びたらどうなるのか――そんな問いが彼の心を動かしました。
まじめにはたらく人が、武道館に立つ意味
この気づきを具体的な形にしたのが「企業のミュージックビデオ」です。社員一人ひとりをインタビューし、その職場で撮影を行い、音楽と映像を通して彼らの姿を作品化しました。すると、普段は表舞台に立たない人々の姿が観る者の心を打ち、涙を誘ったのです。「私たちの生活は、こうした人々の仕事に支えられている」という当たり前の事実に気づかされる瞬間でした。山泊さんが目指すのは、そんな“感動の再発見”を日本武道館という象徴的な舞台で実現すること。そのためにはスポンサーの獲得、出演者や作品の準備、そして観客の動員という三つの課題を同時に進める必要があります。険しい道のりであることを承知しながらも、彼は「道がある限り進む」と強い意志を示しています。
言葉を扱える人が、世の中をつくる
山泊さんの活動の根底には「言葉」への揺るぎない信頼があります。AIによって音楽や映像制作が急速に進化する今でも、彼は「すべては言葉から始まる」と語ります。言葉を操り、意図を的確に伝えられる人が必要とされる時代。だからこそ彼は「しごとの釣書」という独自の営業ツールを開発し、名刺交換の場を価値ある出会いへと変える戦略を提供しています。さらに、経営理念を社員一人ひとりの価値観に結びつける研修や、会社の理念を童話にして伝える取り組みも展開。出版においても「喋るだけで本が出せる仕組み」を構築し、言葉を紡ぐことに不安を抱える人々を支えています。山泊さんにとって言葉は、単なる情報伝達の手段ではなく、未来を形づくる力そのものなのです。
つくるのは思い出ではなく、時代。
「日本武道館は一回限りの思い出作りではない」と山泊さんは断言します。その視線はすでに海外へと向けられ、働く人々の輝きを世界に伝える舞台を思い描いています。彼が求めるのは、ただ華やかさを競うステージではなく、私たちが忘れかけている日常の尊さをもう一度感じさせてくれる場、三年に一度ははたらく人が輝く舞台をつくることです。そして未来を支える仲間として「根性ある若手」を探し続けています。ビジネスパーソンへのメッセージを込めるならば、それは「あなたの仕事の中にある輝きを信じてほしい」ということ。日々の営みの延長線上に、誰もが舞台に立つ可能性がある。その舞台を築こうと挑む山泊さんの姿は、多くの人に勇気と気づきを与えてくれます。