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新しい商売に踏み出す人へ、信頼のつながりを

糸が切れた先に残った、静かな情熱

佐藤さんをひと言で紹介するのは、少し難しいです。中国に長く住み、貿易の現場で商売を重ねてきた人。暗号通貨に惹かれ、ブロックチェーンの可能性を追いかけてきた人。健康食品、訪問看護、金融など、領域をまたぎながら人と事業をつないできた人。見る人によって、佐藤さんの輪郭は変わります。

けれど、話を聞いていくうちに、その奥にある軸は少しずつ見えてきます。

「今は目標目的があって何かをやってる感じではなく、本当にできることを今やってる」

若い頃のように、車が欲しい、年収を上げたい、会社を大きくしたいという欲は薄れていきました。釣りやスキー、サーフィンにも夢中になった時期がありましたが、ある日ふっと糸が切れるように離れていったといいます。それでも佐藤さんの中には、まだ消えていない熱があります。それは、自分の経験を使って、誰かの商いを前に進めることです。

自分の器を知ることから始まった挑戦

佐藤さんは、何度も商売の現場に立ってきました。中国では「本当に商社みたいな感じで何でも屋さん」として、さまざまな案件に臆せず飛び込み、金融から商品提供まで幅広く関わってきました。日本に戻ってからも、その経験は人をつなぐ仕事へと形を変えていきます。

ただ、佐藤さんは自分を過大に見せようとはしません。

「自分ができる範囲って、自分が一番わかってる」

大きな組織を率い、何百人、何千人規模の会社を動かす経営者像は、自分には似合わない。そう語る佐藤さんの言葉には、諦めではなく、長い経験からくる潔さがあります。街の中小企業のおじさんくらいがちょうどいい。身の回りの人たちと、力を合わせて稼いでいく。その距離感こそが、自分に合っているのだと静かに語ります。

だからこそ佐藤さんは、前に出るよりも支える側に立ちます。新しいビジネスに興味がある人、収入源を探している人、出資したい人、働きたい人。そんな人たちを見極め、必要な場所へつないでいく。派手な肩書きではなく、現場で培った勘と信頼で動く。それが佐藤さんの挑戦のかたちです。

ブロックチェーンに見た、まだ誰も知らない可能性

佐藤さんが今、特に心を動かされているのがブロックチェーンの世界です。暗号通貨については、取引だけでなく、マイニング、ステーキング、ファーミングなど、さまざまな関わり方をしてきました。けれど佐藤さんが見ているのは、価格の上下だけではありません。

「ブロックチェーンって、もっとすごいことになると思うんですよね」

インターネットが出始めた頃、多くの人はその先にどんな産業が生まれるのか想像できませんでした。けれど今では、インターネットは社会になくてはならないインフラになっています。佐藤さんは、ブロックチェーンにも同じような、あるいはそれ以上の可能性を感じています。

一方で、現状へのもどかしさもあります。何でもNFTにすればいい、暗号通貨を売ればいい。そんな表面的な使われ方を見るたびに、「そんなんじゃないでしょ」と感情を滲ませます。佐藤さんが関わりたいのは、単なる流行ではありません。まだ誰も気づいていない仕組みや、社会の土台を変えるようなサービスです。

そのために、自分がすべてを作る必要はないと佐藤さんは考えています。アイデアを持つ人、技術に詳しい人、資金を出したい人、動ける人。そうした人たちを組み合わせ、「じゃあ、こういう人たちを集めて、こんなふうにやろうぜ」と形にしていく。佐藤さんの価値は、未来をひとりで描くことではなく、未来を描ける人たちが出会う場をつくることにあります。

そしてその姿勢は、息子さんの将来へのまなざしにもつながっています。AIが進化し、学歴や専門職の意味さえ変わっていくかもしれない時代。子どもたちが5年後、10年後にどんな社会へ出ていくのか。そこで何ができるのか。佐藤さんの関心は、自分の成功だけではなく、次の世代が生き抜く力へと向かっています。

信頼から未来の事業がひらかれる

佐藤さんが今、探しているものは「本当に安心して付き合える人」

商売の世界では、お金や欲が絡みます。良くも悪くも、騙されたり、嫌な思いをしたりすることもあります。だからこそ佐藤さんは、お互いに嫌な思いをしない関係を大切にしています。それはパートナーであり、友人であり、事業をともにつくる仲間でもあります。

新しい技術やビジネスモデルは、これからも次々に現れます。しかし、どれだけ時代が変わっても、最後にものを言うのは人との信頼なのかもしれません。佐藤さんの歩みは、そのことを静かに教えてくれます。

大きな目標を掲げなくてもいい。自分の器を知り、できることを持ち寄り、信頼できる人と組む。そこから、思いがけない未来が開けることがあります。

佐藤さんは今日も、誰かの可能性に耳を澄ませています。新しい商いの芽を見つけたとき、きっとこう言うのでしょう。「面白そうやね。じゃあ、誰と組んだら形になるかな」と。その軽やかな一歩が、次の未来に繋がる、時代の扉を開いていきます。