菱沼誠さんが切り拓く「つながりが価値へと変わる未来」
出会いが示した、新しい歩みの予感
20年以上を金融業界で過ごし、2025年に株式会社ReLicへ転じた菱沼誠さん。落ち着いた語り口の奥には、長年積み上げてきた経験と、そこからさらに踏み出そうとする静かな熱が漂っていました。 金融という“堅い世界”から自由度の高い環境へ。そこで芽生えたのは、「働き方を自分で選びたい」という思いでした。会社員としてのキャリアを続けながら、今年3月からは個人事業も開始。さらに、趣味として20年ぶりに車を購入し、外に出る時間が増えたことで日々に小さな変化が生まれているといいます。
そんな菱沼さんから印象的だった言葉があります。「自分以外はすべてお客様だと思っているんです」。人とのつながりを“資産”と捉え、ご縁そのものに価値を見出す姿勢が、この後の物語の中心となっていきます。
新しい挑戦が始まった瞬間
自由な働き方を求めて踏み出した個人事業。その中心にあるのは、不動産クラウドファンディングの新規事業を不動産会社に提案する仕事です。この領域の専門家は国内でもわずか。「業界の中でもまだ“未開拓”の分野。だからこそ、自分がやる意味がある」と菱沼さんは語ります。
しかし、挑戦には困難も伴います。不動産クラウドファンディングの仕組みを理解している企業はまだ少なく、資格を取得していても実際の運用まで手が回らない会社が多い。そこに対し菱沼さんは、仕組みの説明から運用サポート、場合によっては集客支援の相談まで幅広く応えていきます。
同時に、飲食領域にも挑戦を広げました。突如舞い込んだ「和牛の販売構築」という未知の仕事。触れたことのない世界に一歩踏み込み、牧場訪問やルート開拓をゼロから始める——まさに“昭和の営業”を自称する菱沼さんらしい、足で稼ぐ挑戦でした。 これらの試みを支えているのが、自ら勧誘して作り上げた約80名のネットワーク。金融、不動産、士業、コンサルなど多様な専門家に囲まれ、案件の相談や困りごとが自然と集まる“ハブ”となっているのです。
転換点となった「つながり」が生む価値
インタビューを通じて強く感じたのは、菱沼さんの中で“つながりの意味”が大きく変化していることでした。以前は金融の世界で、個人の実績や数字が評価の中心でした。しかし現在は、人とのつながりが新しい事業の起点となり、価値を生み、別の挑戦へと再びつながっていく循環が形成されています。
「ネットワークの中にいる人は、誰も損をさせないと思っているんです。たとえ今すぐ仕事につながらなくても、必ずどこかで価値を返せる瞬間が来る」。 その姿勢は、不動産クラウドファンディングという専門性を求められる領域においても、和牛事業のような未知の分野に挑むときでも変わりません。
特に印象的だったのは、不動産会社へ新規事業提案を行う際の発想です。クラウドファンディングで集客が必要になる会社に対して、「得意な人を紹介しますから任せてください」と言える仕組みを自ら整えている点。 これは単なる営業代行ではなく、菱沼さんが構築してきた“人のつながりの価値”を事業そのものに転換しているプロセスです。
そして、その根底には“人生の幅を広げたい”という静かな願いがありました。20年間の金融勤務で制限されていた働き方から解放され、興味のある不動産・飲食の世界へ踏み出し、趣味のゴルフや車を通じて日常の彩りも取り戻す。こうした変化が、ビジネスにも自然と波及しているのです。
次のステージへ向けて開く扉
インタビューの最後、菱沼さんは「会って損をする人はいない」と穏やかに微笑みました。その言葉に、これまでの経験と未来への確かな自信がにじんでいました。
今後は、不動産クラウドファンディングの営業体制をより強化しつつ、飲食やホテルなど新たな業界との接点も広げていきたいとのこと。さらに、プロモーションや広告の専門家との協業にも興味を持っており、これまでとは違う角度から事業を進化させていく姿が見えてきます。
これからの菱沼さんにとって、挑戦はまだ始まったばかりです。「すべての出会いを価値に変えていく」そのスタイルは、多くのビジネスパーソンに勇気と示唆を与えてくれます。
日々の人間関係や仕事を振り返ったとき、菱沼さんのように“つながりを信じて一歩踏み出す力”を持てたなら、きっと未来はもっと広がっていくのだと感じさせられるインタビューでした。